2018/10/29 日本経済新聞 朝刊 混沌の新ルール(1)デジタル覇権、国家が争奪―データ資源国も勝者にあらず、米に焦り、対中包囲網(データの世紀)
膨大な情報で生まれた「データエコノミー」が国家や企業を動かすルールをリセットした。世界にあふれるデータは富に変わり、国や企業が一斉にデータ争奪のゲームに動く。従来と異なる競争の影響はプライバシーなど個人の価値観にも及ぶ。データの世紀のルールがいまだ混沌とする中、古い前例にとらわれたままだと取り残されかねない。
日本代表団は一斉に息をのんだ。7月、米ワシントン。日米の経済官僚が集まった「日米ネット経済協力対話」で、米商務省のジェームス・サリバン次官補代理が思わぬ議案を持ち出した。
「自由で開かれたデジタル貿易を促すため、環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる枠組みを日米で主導しましょう」
日本代表団は一斉に息をのんだ。7月、米ワシントン。日米の経済官僚が集まった「日米ネット経済協力対話」で、米商務省のジェームス・サリバン次官補代理が思わぬ議案を持ち出した。
「自由で開かれたデジタル貿易を促すため、環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる枠組みを日米で主導しましょう」